よく『作業工賃が高すぎる』といった不満を見聞きします。
地域によって労賃の差はあるとしても、作業工数はほぼ同じ筈です。
何と比べて高いのかは不明ですが、大人なら、作業を引き受ける側の立場で考えてみましょう。
車輌の整備士はお客様の命に関わる仕事を引き受けています。
そして、その仕事の対価として作業工賃を貰っています。
「その作業工賃を負けろ」というのは、『私の命にそんな価値は無い』と言っているようなものです。

以前、あるディーラーから「顧客による取りつけを推奨しないでほしい」といった旨のご意見が寄せられました。
どうやら当店のDIYの方針を「我流なら安あがり」といった安全を軽視した売り口上と勘違いしたようです。
それは違います!
当店でDIY作業を許容しているのは、知識、技量、経験はもちろん、工具を持っているだけではなく、正しい使い方ができる方に限定しています。つまり、自分の責任は自分で取れる方です。
当店がDIYを推奨する主な理由は、自身の安全のためです。
正しい知識・技量・経験があれば、旅先でトラブルに出くわしても自力で問題の対処ができる可能性が高まります。しいては自分の安全につながるのです。
繰り返しになりますが、当店がDIYを許容する理由は、作業工賃をケチるためではありません。ディーラーやショップの価値を軽視、または、否定している訳ではありません。


ただし、この先の時代はディーラーやショップの業態がどう変わるかは判りません。
動力源がエンジンから電気モーターに切り替われば、バイクも車は電化製品に近づきます。恐らく製品価値は陳腐化します。
製品の品質が良くなれば、自ずと故障率も下がります。
はたして、購入した身の回りの「電化製品」を定期的に点検する人はどれくらいいるのでしょうか?
しかも、点検といってもテスターによる診断が主流です。
トラブル対応はマニュアル通り。
したがって、良くも悪くも技術者の手間が不要になるかもしれません。
不良部品はまるごと交換。または、商品そものを買い換え。
消費者は、当然モノに愛着を持たなくなるでしょう。
当店の承諾無しに、本ブログの内容の一部、または、全てを引用する事は堅くお断り致します。
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