2014年のR1200RT LCの発売に合わせて開発され、乗り心地が楽になると根強い人気のハンドルポジション調整キット。
長年にわたって評判は良いものの、一つ気になっていた事があります。

ハンドルポジション調整キットの装着後、左側のクラッチレバーは心地よい角度に設定できるのに、右側はブレーキリザーバーが当たるため、あと一歩の微調整ができない。
このブログ記事は、当店のハンドルポジション調整キット(以下、キットと表記)のお試しサービスをご利用頂いたお客様の協力で、キットとブレーキリザーバーケース(以下、リザーバーケースと表記)の緩衝問題を解決した時の備忘録です。
既に当店のキットをご利用で、このブログ記事や写真を見て「あ〜、あの部分だ」と思った方は参考にして下さい。
一方、RTは何もしなくても充分乗りやすいと信じている人は、この記事は無視して結構です。知らぬが仏ともいいますので。
被験者(お客さま)の抱える問題
RTには数年乗っているけれど、終日走ると必ず肩が凝る!
おしなべて、RTオーナーは乗り心地が良いというけれど、これがどうして乗りやすいんだ???と不思議に感じていたそうです。
もしかして、自分は思っている以上に乗り方や操作がヘタなのか・・と心の中ではやや落胆ぎみ。
そこで、モノは試し。
当店のお試しサービスを使い、実際に愛車にハンドルポジション調整キットを装着してみようと思ったそうです。
実際にお会いしてみると、身長は170センチで、脚も腕も長い。
ひとまず、作業前に車輌に跨がっていただき、着座姿勢と両足を地面につけた姿勢を拝見しました。姿勢はとても整っている感じです。身長が170センチとはいえ、脚も腕も長い人は得です。
多くの人が気にしている停車時の足つきは心配無用。
むしろ、メーカー純正のローシートだと膝が窮屈なうえに、尻が痛いとのこと。
課題と考察
「このキットを装着すると確かに乗り心地は楽になるが、キットの右側の部品の一部がリザーバーケースに緩衝するため、ブレーキレバーの固定位置が水平気味になってしまう。一方、クラッチ側は緩衝の問題は無し。ブレーキレバーをもう少し下側に下げたい。」そんなフィードバックがありました。
RTのリザーバーケースの底面にはやや大きめなリブらしき部分(強度を高めるための補強)が付いており、これがキットの設置角度によって当たって角度調整の邪魔をします。
問題のリブ(出っ張り部分)はリザーバーケースを保護・補強しているようには見えないし、放熱フィンでもなさそうです。(詳しい方がいたら教えて下さい。)
一般論としてですが、工業製品なら外観を損ねないよう見えない内側にリブをつける筈です。仮に構造上の補強が必要なら、底面の外側にリブをつけるよりも、リザーバーケースの底自体に厚みを持たせるほうが構造がシンプルで合理的なのではないでしょうか。(あくまでも素人の意見です。)
解決策

このリザーバーケースの底面の謎のリブらしきもの必要性や有効性は、いくら調べても分かりません。また、誰も答えてくれません。(これはいわゆる悪魔の証明のような命題なのかもしれません。)
そして考えた末、リザーバーケース裏の当たるリブらしき部分を削り取ることにしました。(もちろん被験者の同意の上です。)
リザーバーケースをグリップから外し、中に気泡が入らないように注意しつつ、写真の黄色い線の部分を幅2センチ程度切り取ります。道具が揃っていれば数分の作業です。
効果

ブレーキリザーバーの邪魔な部分(黄色で示す部分)を切り取ると、その分だけブレーキレバーの水平調整の可動域が広くなり、写真のように地面側に倒せるようになります。そのおかげで、ブレーキレバーの高さを操作しやすい角度に固定できました!
評価
数日後、被験者のお客さまより以下の評価が寄せられました。
プラス評価:
- 車輌の見た目はあまり変わらないけれど、乗り心地や操作が別モノのように良くなった!
- グリップの位置はもとより、右のブレーキレバーの位置も満足。
- コーナーリングの時に身体と車輌の一体感がより強く感じられるようになった。
- 2日間で約500キロ走ったけれど、いずれの日の夜も以前のような肩こりが無い。
マイナス評価:
- 今までより乗るのが楽しくなったので、間違いなく出費が増える。
追記情報:
- 取りつけから半年ほど経っても加工したリザーバーケースに不具合は無いそうです。
注意点(必ずお読み下さい)
このケースの底面のリブ(?)を削り取る作業は簡単ですが、作業中にブレーキホース内に気泡が入らないようにくれぐれも注意して下さい。(一人では作業せずに、補助の方にリザーバーケースを保持してもらう事を強く推奨します。)
この作業は制動装置の整備に属するので、自分で自信をもって作業ができない場合は、迷わず整備士にお願いして下さい。
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